28:名無しさん@おーぷん2018/02/07(水)23:27:36 ID:qio
東京からの転校生により人生が少し変わった。
思い出すと恥ずかしいが幼稚園の時代から孤高を気取っていて自分の時間をすべて時間の為に作っていた。
友達なんか必要ないと思っていたので誰にも話しかけなかった。
お人好な兄も甘えん坊な妹のことも気に入らなくて家の中でも避けていた程だ。
親からは散々心配されたがうっとうしかった。

28:名無しさん@おーぷん2018/02/07(水)23:27:36 ID:qio
放課後か休日は塾で学力向上、もしくは町内を何周もマラソンして足腰を鍛える。
マラソンは雨が降っていようが雪が降っていようが慣行した。空いた時間は読書か空想、映画鑑賞に充てていた。

この性格のまま中学校に入学した。
成績は常に学年トップだし、陸上部では主力選手だったからかいじめられるということもなくクラスメートとはあたりさわりのない普通の関係だった。

中二の2月後半に東京から転校生がやってきた。
新潟市の一番賑やかな地域が学区の中学だったがそれでも東京都は比べるべくもない。
その子は都内でも指折りの名門お嬢様学校から転校してきたため、頭も桁外れに良く、スポーツ万能。
地元にはいない、まつ毛が長くてカールした西洋人形のような彫りの深い顔立ちだった凄い美少女だった。
颯爽とした立ち振る舞いや垢抜けた爽やかな雰囲気がいかにも都会人という印象だった。

29:名無しさん@おーぷん2018/02/07(水)23:29:38 ID:qio
皆彼女の持つ華やかなオーラに圧倒されて話しかけなかった。
男子も女子も遠巻きに見ていただけ。
相手の容姿や成績なんて全く気にしなかった私は、平等に無愛想かつ事務的に接していた。
そのためか、彼女は私にしょっちゅう話しかけるようになった。

私と彼女の学力は拮抗していたせいか、「課題どこまで進んだ?」とか「小テスト満点だった?」とライバル意識が見えることもあった。
でも本の趣味やファッションセンスが一緒でリチャードマシスンやサーリィジャクスンについて語り合ったり、休日に西堀通を共にウィンドウショッピングして過ごすのは想いの外楽しかった。

彼女との付き合いでわかったことは、人と付き合うのも案外悪くなるんじゃないか、ということ。
彼女とは中学3年でクラスが分かれてしまい、そのころから周囲も彼女に話しかけるようになって全く縁が切れた。

私も3年進級をきっかけに周囲への態度を変えたら普通に友達も出来てモテるようになった。
友人づきあいで自分が折れなくならなきゃいけないことはちょっとストレスだったけど一人遊び以上に楽しかった。
兄妹とも親との間に距離もなくなった・・・というかそれまで気づいてなかったけど家族は皆性格良かったんだよね。

現在は新潟に残って建築士で食べていて彼氏も友達もいます。
東京から彼女が来なかったら今でも孤高を気取って生きていたんだろうか?
一人でもそれは別の種類の幸せが人生だったと思うけど。

PickUp!