223:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 15:57:08.44 ID:flZ1wfTAO
今起きました!
落ちてると思ってたのでびっくり
保守ありがとうございます

では相変わらず遅いですが
のんびりお付き合いください

http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1314828020/
225:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 15:59:47.85 ID:YDR8eqZz0
キタ━━━━━━(・∀・)━━━━━━!!!!

226:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 16:01:34.83 ID:egP0Y+gHO
おはようさあ続きを

231:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 16:04:09.54 ID:JqZuQwvN0
>>223
さっさと書け

232:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 16:07:43.66 ID:n2LWl7nd0
wktk

233:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 16:09:43.51 ID:flZ1wfTAO
おっさんには家族の話はしたことがなかった
そしてするつもりもなかった
今思えば大人相手に気にすることもなかったのかもしれないけど
元々家庭の事情によってぼっちへと導かれてきた俺には
この話題は何が何でも言いたくなかった

だからおっさんは俺に父が居ないなんて
全く知らなかったはずなんだけど
察してくれたのだろうか

ピチピチのポロシャツと丈の短いズボンに身を包んだおっさんは
それ以上何も言ってはこなかった


そしていざ遊園地へ

237:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 16:20:55.70 ID:flZ1wfTAO
電車に揺られること小一時間
途中で乗り換えに失敗して責任のなすり付け合いをしながらも
どうにかこうにか遊園地に到着した

おっさん「大人1枚とガキ1枚」

俺「ガキなんて券売ってへんで」

おっさん「アホォ。子供って書いてガキって読むんじゃ」

俺「じゃあ大人って書いておっさんって読むんかー」

おっさん「うわっ、憎そいのー」

俺「すいませーん!おっさん1枚とガキ1枚くださーい!」


そして無事チケットを入手し中へ入ると
そこはもう俺にとっては夢の国だった
今みたいに凝ったアトラクションがあるわけでも
ましてやネズミがいるわけでもなかったけど
豪華な電飾に彩られた世界に俺は大興奮したのを覚えている

242:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 16:31:19.33 ID:flZ1wfTAO
首が痛くなるくらい周りをぐるぐると見渡しながら歩いてると
まず目に入ってきたのはこれだった

俺「おっさん!おっさん!」

おっさん「何や便所か?早いのー」

俺「ちゃうわ!ほら、あれ乗ろうや!」

おっさん「んー?どれやねん」

俺「あの飛行機みたいなやつ」

おっさん「紐でブンブン回されてるやつか?」

俺「そうそう!」

おっさん「うわぁ…」


今でも正式名はわからないけど
デカい円柱の上ほうからワイヤーが吊してあって
その先に飛行機がくっついてて円柱が回転すると
遠心力的なもので飛行機が結構なスピードでブンブン回るやつ

おわかりいただけるだろうか?

243:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 16:33:52.02 ID:YDR8eqZz0
うわー地元の小さな遊園地なんだな

244:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 16:42:23.55 ID:nSYIyr/J0
分かるよ

245:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 16:43:06.92 ID:flZ1wfTAO
おっさんは明らかに嫌そうな顔をした

おっさん「あれめっちゃ怖そうやん…」

俺「なんで?楽しそうやん!空飛んでるみたいやん!」

おっさん「お前なぁ、あの紐取れてほんまに飛んで行ったらどないすんねん」

俺「え…?あれ取れるん?」

おっさん「紐つけてんやったら紐取れることだってあるやろ」

俺「ほんならおっさん一回乗って確認してきてや」

おっさん「しばくぞボケ」


俺は嫌がるおっさんの手を引いて何とか乗ることに成功した
一人乗り用だったので乗ってる最中におっさんがどんな顔してたかはわからないけど
終わって飛行機が停止しても
しばらくおっさんは座ったまま口半開き状態だった

246:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 16:51:48.78 ID:flZ1wfTAO
そんなおっさんを引きずり俺は止まることなく遊びまくった

メリーゴーランドはとにかく派手で本に出てくるお菓子の家みたいな印象だった
お化け屋敷はおっさんと手を繋ぎながら入った
めちゃくちゃ怖かったけど俺の手を引くおっさんの歩くスピードも
なかなか怖かった記憶がある
小さな線路を走る汽車にも乗ったし
水上をペダル漕ぎながら進むのも楽しかった

そうこうしてるうちに腹が減ったので
近くにあったベンチで弁当を食うことにした

247:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 16:54:10.76 ID:GcDKo98p0
お化け屋敷でおっさんが抱きついてくるハプニングはなかったのか

248:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 16:54:30.40 ID:dpJ3476W0
こういう話はやっぱおっさんが似合うな

近所のお兄さんお姉さんおばさんだとこうは似合わない

おっさんが持つ不思議な魅力だな

249:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 16:55:26.01 ID:S8QykrVnO
いくらバイトをしたとはいえオッサンの財布が心配になるな

250:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 17:04:52.76 ID:xo/g0KEQ0
既に切なさ全開だわ

251:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 17:04:58.25 ID:flZ1wfTAO
おっさんは俺が弁当を持ってきたことを言うと
ちょっとびっくりしてた

おっさん「こんな時にまで作ってきたんか」

俺「こんな時やからやん。遠足に弁当持ってこん奴なんかおらんで」

おっさん「まぁせやけど…今日くらい外でなんか食わしたったのによ」

俺「ホームレスのくせにお金あるん?」

おっさん「アホ、ホームレスは家は無いけど金は意外と持ってたりするもんやねん」

俺「へーそうやったんや。じゃあおっさんの分も俺食うわ」

おっさん「いやいやいや!食いますやんか兄さん!」

おっさんは相変わらずのノリで弁当食ってたけど
俺はホームレスのおっさんに
遊園地に連れて来てくれる金があるとは思えなかった
チケットを買う時ですら子供ながらにヒヤヒヤしていたぐらいだ
だからおっさんの発言を聞いて俺は内心ホッとした

(そうか…ホームレスもお金持ってるんやなぁ…)

もちろんバイトで稼いでたのは言うまでもなかった

254:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 17:15:28.51 ID:flZ1wfTAO
飯を食い終わってから広場に行ってヌイグルミが踊るショーを見たり
また飛行機に乗っておっさんが白目剥いたりして
とにかくこれでもかと言うくらい遊びまくった

そして時間的に次が最後だと言われると
俺は迷いなく観覧車を指差した

またお決まりなカンジだけど
来た当初にあれは最後に乗るものだとおっさんに言われていたのだ
理由は今でもよくわからん

俺はおっさんと向かい合わせに座ったが
観覧車が動き出すとあまりの高さにびびってしまい
外の風景を見れなくなってしまった

258:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 17:24:47.25 ID:flZ1wfTAO
観覧車が頂上近くまで来る頃には俺もうおっさんの顔すら見れず、
ずっと自分の足元ばかり見ていた
飛行機やお化け屋敷なんか比じゃないくらい怖かった

するとおっさんは俺に言った

おっさん「何してんねん。めっちゃええ景色やのに早よ見んかい」
俺「おっさんおかしいんちゃうか…こんなん怖すぎるやろ」

おっさん「あははははっ!こんモン怖いことあるかい!」

爆笑しながらおっさんは丸くなった俺の背中をバシバシ叩いた

俺は飛行機での復讐だと涙目になった

259: 忍法帖【Lv=26,xxxPT】 2011/09/01(木) 17:24:49.19 ID:TInI4rAd0
もう泣きそうだ

260:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 17:26:26.06 ID:8KnzTTIiO
おっさんの気持ちが気になるな。

263:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 17:28:09.65 ID:OcThB20R0
高いところ苦手なんだな

264:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 17:28:32.07 ID:GcDKo98p0
こういう展開かと思った

8cecbafe


266:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 17:31:59.70 ID:8KnzTTIiO
>>264
ワロタwww

267:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 17:34:31.48 ID:flZ1wfTAO
それからもおっさんは景色を見ろとしつこかったので
俺は身を屈めたまま勇気を出してちょっとだけ外を見た

すると視界に広がったのは青一色だった

屈んだ俺の位置からだと周りの建物なんて一切見えなくて
観覧車の窓は全部綺麗な青一色だった

俺は予想外に怖くなかった景色に
恐る恐る背筋を伸ばしてみた


ら、怖かった

268:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 17:35:20.11 ID:nSYIyr/J0
よっぽど怖かったんだなw

271:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 17:47:04.50 ID:wj542Tni0
素敵やん

272:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 17:47:12.78 ID:ygZXyp9hO
イイハナシダナー

273:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 17:49:05.98 ID:flZ1wfTAO
おっさん「お前何怖がってんねん。飛行機は乗れてたやん」

俺「飛行機はこんな高なかったわ…」

おっさん「変な奴やっちゃなぁ…まぁええわ。一回見てもうたら一緒や。ちゃんと見てみ」

俺はまだしつこいおっさんにうんざりしながらも
窓に付いてる手すりみたいなやつにガッチリ掴まって渋々周りを見ることにした

すると最初は怖かったものの慣れてきたのか
長く続いている線路
遠くに見える海
玩具のようなビル
豆粒のような人間
俺は次第に興奮していった

275:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 17:51:04.14 ID:OcThB20R0
文章上手いな
もし創作であったとしても、もう別にいい

276:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 17:54:38.22 ID:ElfOH7eC0
このまま泣く自信ある

280:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/09/01(木) 18:08:03.35 ID:flZ1wfTAO
まだ完全に恐怖が消えないため手すりは握ったままだったけど
もう俺は外の世界に夢中になった

そんな俺におっさんは言った

おっさん「どうや、なかなかええ景色やろ」

俺「うん、何かちょっといけてきたかも」

おっさん「おう。みんなな?そんなモンやねん。井の中の蛙言うやろ?」

俺「何それ知らん」

おっさん「だからなぁ?今自分の身近にあるモンだけが全部ちゃうってことや」

おっさん「ちょっと見る角度変えただけで、いつものしょーもない町がこんなにええモンになんねん」

おっさん「最初は誰かて怖いけど、やってしまえば案外なんとかなる」

おっさん「周りがあかんのやったら視点を変えたらええんや。わかるか?」

俺「んー…ようわからん」

おっさん「やろうなぁ」

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