158:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/18(金) 08:47:43
なんともバツの悪い朝を迎えた。

のそのそとベッドから出た俺に新藤さんが日本茶を差し出した。
「コーヒーよりこっちのほうが、大塚さん、いいでしょ?」

笑顔だ。
なんで笑顔になれるんだ?
俺は苦笑いすら出来なかった。

あまりまともに会話も出来ず、俺は帰ろうと身支度を整えた。

「私も出掛けるので、駅まで一緒に行きましょう」
早くひとりになりたかったが、俺は何も言えなかった。

道すがら、彼女が言った。

「何も考えないでください。私、これきりだと思ってますから」

彼女はいつもの職場での顔になっていた。

http://love3.2ch.net/test/read.cgi/lovesaloon/1131655290/
159:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/18(金) 08:48:47
家に帰ると、郵便受けに宅急便の不在票が入っていた。

芽衣子さんからだ。

宅配会社に連絡すると、1時間後に荷物が再配達された。
中には手作りと思しきチョコと、ブランド物のネクタイが入っていた。

今回は手紙は無かった。
それが何か無言の圧力に感じた。

いろんな感情に塗れながら食べたチョコは、味がしなかった。

160:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/18(金) 08:49:32
翌週、職場で会った新藤さんはいたって普通だった。

ありがたいというか、なんというか。

自分が卑怯な男に思えたが、俺も努めて平静を装い、彼女に接した。

以後、彼女は全くあの日のことに触れず、俺も口に出さず、ふたりで飲みに行くこともなくなった。

161:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/18(金) 08:50:39
一ヶ月後のホワイト・デー。
芽衣子さんにお返しを送った。ちょっとだけ値の張る小物入れ。
メッセージの類は入れなかった。
何か事務的で、虚しさを感じた。

162:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/18(金) 08:51:38
それから一ヶ月、二ヶ月、三ヶ月。
季節は春を迎えた。

相変わらず芽衣子さんとのやりとりはない。
飽きもせず俺は考え続けていた。

しかも今までは恵子ちゃんや芽衣子さんのことだけだったのに、なぜか新藤さんのことまで悩みの数に入れた。

なんともはや俺という男は小心者で、ナルシストで、くだらない人間なのか。

163:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/18(金) 08:52:32
ある日、同僚と飲みに行った。
いい加減酔い、終電に飛び乗った時、俺は衝動に駆られた。

芽衣子さんに電話しよう。

横浜駅はまだ先だったが俺は途中下車した。
改札を出てすぐに電話する。
2、3コールで芽衣子さんが出た。

164:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/18(金) 08:53:35
「お仕事ご苦労様!」

芽衣子さんの言葉を聞いたらたまらなくなった。
俺は芽衣子さんが口を挟む隙さえ与えぬほど、捲くし立てた。

たのむよ!俺の側にいてくれよ!恵子ちゃんのことなんて関係ないだろ!
忘れたかなんてわかんないよ!忘れたって言ったって信用してくれるのか!
芽衣子さんが必要だってことだけわかってるんだ!
嫉妬なんて構わないよ!嬉しいよ!嫌になんて絶対ならない!

俺の話が終わるのを待って、芽衣子さんが言った。泣いてた。

「健吾君の気持ちはうれしいの。でも私は、自分が嫌な女になるのが嫌なの!」

初めて聞く彼女の泣き声に、俺は少し冷静さを取り戻した。

「一体なんで、そこまでこだわるんだい?」

165:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/18(金) 08:55:09
俺の問いに泣きながら彼女は答えた。

昔、結婚を考えた彼氏がいたこと。
でも自分はいつも彼を疑ってしまったこと。
そしてとうとう、彼は「わずらわしい」と言って去っていったこと。

自分は病気だと、芽衣子さんは言った。

俺は胸がいっぱいになった。

「じゃあ、俺が本当に恵子ちゃんのことを忘れたと、芽衣子さんが確信を 持てるまで芽衣子さんは待つの?そんなの芽衣子さん次第であって、 いつになるかわからないじゃない!」

ほんの少し無言になった後、芽衣子さんが言った。

「それでも私は待ちたいの」

ああ、理屈じゃないんだな、と思った。

堂々巡りに疲れた。もう、いいや。

俺は電話を切った。

166:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/18(金) 08:56:05
家までのタクシー代は2万円近かった。

こんなことならカプセルホテルにでも泊まりゃよかった。

自宅のベッドで横になりながら、
そんなことを冷静に考える自分を冷たいと思った。

167:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/18(金) 08:57:17
夏。初めて体験する東京の暑さは俺を一層、滅入らせた。

ある日、出勤すると新藤さんが職場のみんなに挨拶回りをしていた。
俺の姿を見つけ、彼女が深々と頭を下げる。

「このたび、会社を辞めることになりまして…」

俺とのことが原因!?動揺した。

「今晩、飲みに行きません?」

小声で言った彼女は笑顔だった。

168:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/18(金) 08:58:09
その晩、飲み屋に入り席に着いた彼女が、開口一番言った。

「私の退職は、大塚さんとのことと全く関係ありませんから」

きっぱりとしていた。

話を聞いた。
彼女は彫金を趣味としていたのだが、最近、知り合いの彫金師にこれまで作ったアクセサリーを見せたところ、強くプロになることを薦められたそうだ。
でもまだまだ自分は勉強不足だと感じるため、会社を辞め、その知り合いのもとで修行をしようと決めたらしい。

169:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/18(金) 09:00:37
生き生きと話す彼女がなんだか羨ましい。

その時の俺はどういう精神構造をしていたのか。
こともあろうに俺はとんでもないことを口にした。

「俺と付き合ってください」

はぁ?

そうは彼女は言わなかったが、
一瞬真顔になった後、すぐに笑顔でこう言った。

「そんなこと言わないで。
残酷だけど、私の中では終わったことなんです。
それって『今更』、ですよ?」

穴があったら入りたい、なんて言葉じゃ生温い。
今思い出しても、恥ずかしさで腹の辺りに空洞を感じる。

自業自得。
また俺はひとりになった。

172:恋する名無しさん 2005/11/18(金) 12:53:34
1さん乙です。
ってか何かあまりにも悲しいですね…。
見てると切なくなってきますよ。
続き期待してます。マイペースで頑張って下さい。

173:恋する名無しさん 2005/11/18(金) 13:29:20
悪いけど芽衣子さんは、本当に腹が立つ!!
読んでいてこんな気持ちになるんだから、
当事者の大塚の気持ちを考えるとたまらないな。

174:恋する名無しさん 2005/11/18(金) 20:40:53
芽衣子さんは本当に精神病ではないだろうか?
そんな芽衣子さんのどこが、1◆はよかったの?

175:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/19(土) 06:09:41
>>173
>>174
付き合い始めてからクリスマスを迎えるまで、彼女にそんな性癖があるなんて思いもしませんでした。
その頃の彼女は本当に心優しくて、可愛くて、私は大好きでした。
彼女の極度の嫉妬心が病気といえるレベルだったのかはわかりませんが、私次第で解決できると思っていました。
お気持ち、ありがとうございます。

176:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/19(土) 06:11:17
プライベートがうまくいってないと、仕事までうまくいかないのだろうか。

毎日なにかしらやらかし、何をしても空回りする日々がしばらく続いた。
社会に出て10年余、どんなに辛いことがあっても仕事に影響するなんてことはなかった。
それが、色恋沙汰で我を失っている。
これじゃアカンがなと思う反面、案外俺も普通の人間だったんだなと実感した。

177:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/19(土) 06:12:45
秋になった。
大きな失敗こそしなくなったが、相変わらず仕事はパッとしない。

ある日、見かねた先輩が俺を飲みに誘った。

「どうしたんだ、ここんとこ?何かあったか?」
「いえ、別に。何もないですよ」
「そうか?お前はそういうことあんまり話さないからなぁ。彼女と何かあったのか?」

彼は俺が転勤する際、本社から残務整理の手伝いのために来ていた人だったので、俺と芽衣子さんが付き合っていることは知っていた。

「彼女とは…終わったんですよ」
「…そか。まぁ、どうせ話さんだろうから深くは聞かんけど」

そう言って、先輩はそれ以上クドクド説教することはしなかった。

飲んでいる間、先輩がさりげなく気を遣ってくれているのがよくわかった。

ありがたかった。
こんなところで駄目になっちゃだめだ。
たった1年かそこらで都落ちなんてしてられっか!
俺は少し前向きになれた。

そろそろお開きにするかというところで先輩が言った。
「パーッと合コンでもすっか?俺、セッティングしたる」

それもいいか。

「レベル高いの、たのんますよ!(笑)」
カラ元気で言った。

178:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/19(土) 06:14:05
2週間後、六本木で合コンとなった。

こちらは先輩と俺、相手はOLふたり。
とても綺麗な人たちだった。
丸の内で働いているというふたりはさすがに垢抜けていて、会話も洗練されている。
話していて楽しかったが、当たり障りのない会話に虚しさも感じた。

「ダメですよ!故郷のこと、そんな悪く言っちゃ!」

OLのひとり、関口さんが真剣な顔で言った。

会話の流れで俺の田舎の話になっていた時だった。
「○○なんて、いいところに住んでたんですね〜」
「いや、大したトコじゃないですよ。田舎だし」
「ええ〜?都会じゃないですか〜」
「中途半端にね。あんまり面白いところじゃないです」

横で聞いていた関口さんが俺を叱り付けた。

場が一瞬凍った。

「大塚〜!関口さんがもっと訛っていいってよ!(笑)」
先輩、ナイスフォローです。

また和気藹々とした雰囲気に戻ったが、
関口さんは恥ずかしそうに俯いていた。

179:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/19(土) 06:15:35
2軒目はどうするかということになった。
俺は関口さんのさっきの態度が気にかかり、先輩に誘ってもいいかと尋ねた。
先輩は意外そうな顔をしていたが、もうひとりのOLさんを連れてさっさと行ってしまった。

「もう少し、飲みません?」
「ええ」

関口さんを伴い、落ち着いて話せそうな店に入った。

1軒目よりも静かな会話だったが、お互い打ち解けた感じになった。
関口さんも
「こうして落ち着いて話せるほうが好きです」
と言っていた。

まったりとした時間を楽しみつつ、俺は気になっていたことを口にした。
「さっき、俺叱られちゃいましたね、関口さんに(笑)なんか悪いコト、言っちゃったかなぁ?」

彼女が目を丸くした。
「ごめんなさい!あんな大声出すつもりなかったんですけど…なんか…」
「なんか?」
「故郷の話をしてた時の大塚さん、辛そうな顔してた気がして…」

180:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/19(土) 06:16:46
黙って話を聞いた。

「私はずっと東京で生まれ育ったから故郷がある人の感覚はよくわからないんですけど、 普通、故郷の悪口を言う人って、それが冗談だったり、口ぶりに愛着が感じられたりして、本心で言ってるようには感じられないんです。でもさっきの大塚さんはとても辛そうに見えました」

真剣に話す関口さんが恵子ちゃんとダブって見えた。

お互いのメアドを交換し、関口さんと別れた。

なんだか無性に恵子ちゃんと話したくなった。
携帯のアドレス帳を開いたが、やっぱりやめた。

181:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/19(土) 06:18:15
俺の気持ちが通じたのか。
数日後、携帯に恵子ちゃんから電話が入った。

その日はタイミング悪く夜勤中で、着信に気づいたのは翌日だった。

電話しようかしまいか夜まで迷った挙句、メールを送った。

「久しぶり〜!元気だった?昨日はごめんよー。夜勤中だったから」
返信はすぐに来た。
「ごめんね、突然電話して。夜勤だったんだ。ごめんなさい」
また送る。
「どしたん?何かあったのかい?」
また返信が来る。チャットのようなメールのやりとり。
「うん。最近落ち込んでて…ちょっと健吾君の声が聞きたかっただけ」

こんなに弱い感じの恵子ちゃんは初めてだ。
思い切って電話した。

182:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/19(土) 06:19:20
メールほど暗い声音ではなかったけれど、
恵子ちゃんが無理して明るく振舞っている感じがした。

「悩みがあるなら話してみなよ。大したことは言えないだろうけど」
「ありがとう。あのね…」

よっぽど我慢していたのだろう。どっと恵子ちゃんの言葉が溢れ出た。

ずっと仕事のことで悩んでいたこと。
精神状態が影響したのか、三半規管をおかしくして耳の病気になったこと。
仕事を続けられなくなり、とうとう会社を辞めてしまったこと。
お母さんが更年期障害で倒れたこと。
次の仕事も決まらず、またお母さんのことも考え、マンションを引き払って実家に戻ったこと。
そんな状態だから、次の書展に出す作品も煮詰まってしまっていること。

気丈に話していたが、言葉は泣いているように感じた。

俺は通り一遍の慰めしか言えなかったが、彼女は何度もありがとうと言ってくれた。
声が震えていた。

「健吾君と飲みに行ってた頃が恋しいよ。あれって、私にとって大事な時間だった」

深い意味は無い。彼女は気弱になってるだけ。

落ち着きを取り戻した彼女がおやすみと言った。

183:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/19(土) 06:20:09
翌日、俺は開き直った。

恵子ちゃんと、このままで行けないだろうか。

もう恵子ちゃんを無理に忘れなきゃいけない理由は何もない。
俺と彼女の道が交差することは絶対に無いし、そんなことは出来ないけど、せめて平行に歩いていくことは許されないか。
それは辛さを伴うし、
いつかこの先、もっと大きな辛い結末を迎えるかもしれないけど、その時まで、ほんのちょっとでも幸せな気分を味わいたい。
俺の気持ちさえ誰にも悟られなければ、なんの問題もないはずだ。

ナルシシズムな考えに、俺の気持ちは軽くなった。

184:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/19(土) 06:20:57
それからは頻繁に電話とメールのやりとりをした。

決して気持ちを気取られぬよう、細心の注意を払いながら、真面目な話、馬鹿な話、楽しい話をした。
恵子ちゃんも明るさを取り戻してきた。

185:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/19(土) 06:21:58
12月。
いつものように送られてきた恵子ちゃんのメールは沈んでいた。

秋に仕上げた書の作品が落選したという。
彼女の書道歴は年季が入っており、階位で言えば「師範」の腕前を持っていた。
それだけに周囲から受けるプレッシャーも相当なものだったろう。
加えてあの頃の彼女のプライベートはボロボロだったし。
無鑑査で出展はされるが、見に行く気力がないと言っていた。

拠り所とするものが上手くいかない。
きっとそれはものすごく辛いことなんだろうな。

186:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/19(土) 06:23:18
すぐさま慰めたくて俺は携帯を手にとったが、口にできる言葉なんて高が知れている。
俺はメールを送ることにした。

「ひとつの作品を生み出したというコト、
それを多くの人が見にくるというコト、
それが恵子ちゃんへのご褒美だと思う。
だから、おめでとう」

返事はすぐ来た。

「ありがとう。
まだまだ私は未熟だけれど、でも何かを表現したくて、それをいろんな人に見てもらいたくて、だから、それを形に出来て、そういう場を持てているということは、有難くて、幸せなことなんだよね。
目が覚めました。とっても素敵な言葉を、ありがとう」

おかげで展覧会に行く気になれたと彼女は言った。
上野の美術館で来年2月。
ぜひ一緒に観てほしいという彼女に、俺は「もちろん!」と約束した。

今年もひとりの年末だったが、心は少しあったかかった。

187:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/19(土) 06:24:16
2004年。
年が明け、俺は2月を心待ちにした。遠足を待つ小学生の気分。

仕事はますます不規則になり大変だったが、張り合いがあるから苦にもならない。
現金なものだ。

そして当日がきた。
上野駅に降り立つとすでに恵子ちゃんはいた。

なんか痩せたな。ちゃんと食べてんのか?

「恵子ちゃんもお母さんも、身体は大丈夫?」
ふたりとも快方に向かっているとのことだった。
しかも彼女は地元で職に就き、順調な生活を送っていると。ほっとした。

一年半ぶりに会う恵子ちゃんの笑顔は変わってなかった。

188:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/19(土) 06:25:13
彼女の案内で美術館へ。
「初めて見せるね、私の作品。これが賞を逃した傑作です(笑)」
彼女の指の先に、懐かしい字があった。

今回の作品は俵 万智の歌だった。

 朝市はにんげんの市。
 食べる買う歩く語らう
 手にふれてみる。

この歌は俵のバリ旅行記の歌だそうだ。

昔、恵子ちゃんもバリを旅行したそうで、
その時感じたバリという国が持つ生命力が、あのとき無性に懐かしくなったという。

きっと彼女は自分の作品に癒されようとしたんだろう。
あんな精神状態の中でこんな力強い文字が書けるなんて。
しかもそれを書いたのは、今俺の横にいる小さな女性なのだ。
「この人です!この人がコレ書いたんですよぉ!」
俺は叫び出したくなった。

189:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/19(土) 06:26:15
その後、2時間以上もかけて会場を観て回った俺たちは、彼女の「ベタな観光地に連れてって(笑)」という要望を叶えるべく、汐留の有名な店でランチをとり、お台場の某TV局を巡った。

「なんだか垢抜けたね、健吾君。いろいろあったんだろうね」

TV局の「球」から夕暮れの海を眺めていたら、
恵子ちゃんがまじまじと俺の顔を見て言った。

ドキンとしたが、
「もともと持ってた俺の都会的な一面が、ハマで開花したんだよん(笑)」
とかわした。

恵子ちゃんはツッコミもせず、ただ微笑んでいた。

190:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/19(土) 06:26:56
帰りの新幹線の時間を気にしなくてもいいように、俺たちは東京駅で晩飯を食べることにした。

酒も食もすすんだ。
ふと、恵子ちゃんが言った。

「あのね。私、今付き合ってる人いるの」

鼻の奥がツーンとした。

191:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/19(土) 06:28:11
その彼は友人から紹介された人だと言う。
年は30代後半。大人の人だ。

「おお!おめでとさーん!」
やめろ馬鹿。
「どんな人?照れんなよぉ!教えろって(笑)」
口が止まらない。

「ん。やさしい人。私が大変な時も助けてくれた」
「いいじゃん、いいじゃん!…で、結婚とか考えてるの?」
「まだわかんない。そういう話はまだしてない」
「しちゃえばいいじゃん!恵子ちゃんに気持ちはあるんだろ?」
「うん…でも考えること、いろいろあって」
「なにを考えるってのさ?こういうのってタイミング大事だぞぉ(笑)」
お前はそのタイミングをいつも逃してるだろ…。

恵子ちゃんが真顔になった。
「なんか…結婚させたがってない?」

「そ、そりゃ従姉が幸せになるってのは嬉しいことだもの!」

「ありがと」と言う恵子ちゃんとは目が合わせられなかった。

改札口まで恵子ちゃんを送った。
早く帰したいような、引き止めたいような。
改札の向こうに行ってしまった恵子ちゃんは、何度も振り返って手を振った。
姿が見えなくなるまで俺も手を振った。

192:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/19(土) 06:29:22
また、“大好きな”悶々とした時間が訪れた。

開き直ってわずか3、4ヶ月。
これが結末か…早いなちょっと。もう少し時間があると思っていた。

一ヶ月後、結婚式の招待状が届いた。
送り主の名は…田中…。

きた!!!!!!!

…ん、いや、違う。恵子ちゃんのお父さんの名じゃない。

それは田中一族の別の従兄さんからの招待状だった。

脱力して安心し、安心したことに憮然となった。

(もう覚悟決めろよ、俺)

しかし覚悟を決める材料は、
いつまで経っても恵子ちゃんから届かなかった。

193:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/19(土) 06:30:20
6月。
従兄さんの結婚式に出席するため俺は帰郷した。

2月以来、一切連絡を取り合っていなかった恵子ちゃんと顔を合わせる。
いたって普通。元気そうだ。変に意識していたのは俺だけだった。
きっと彼氏とうまくいってるんだろうな。チクリとした。

またも席は同じテーブルだった。
しかも今回は隣。
まぁ、意識する必要はないんだけど。

披露宴もたけなわを迎えた頃、恵子ちゃんが俺の肩を叩いた。

「終わったらすぐ帰るの?」
「いや。この後親戚だけで軽く飲むんでしょ?顔出してくつもりだよ」
「そう。だったら後で時間くれる?話があるの」

きた。今度こそきた。はぁ。

「んん〜?彼氏のことかい?(笑)」

おどけた俺の言葉は、なぜか無視された。

「???」

194:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/19(土) 06:31:17
田中の家に移ってからは、時間がやたら長く感じた。
酒の味もよくわからない。

やだなぁ。ああ、いやだ。
このまま恵子ちゃんのスキを見て、逃げちゃおっかな。
本気で考えた。

帰りの新幹線の時間が迫ってきた。
恵子ちゃんは台所に行ってる。
チャンスだ。
俺は中腰になって「そろそろお暇しますね」と親戚一同に挨拶した。
従兄のひとりが「駅まで送るよ」と言った時、背後から声がした。

「私、送るよ。飲んでないし」

…恵子ちゃん。
つかまってしまった。

195:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/19(土) 06:32:25
みんなの手厚い見送りを受け、恵子ちゃんの車に乗り込んだ。

走り出すと恵子ちゃんが言った。

「話があるって言ったじゃない」
「ご、ごめんごめん。酔ってて…」

彼女は怒ってた。ちょっと怖い。

駅前のロータリーに車が止められた。
俺は覚悟を決めた。でもまた口が動いた。

「とうとう彼氏と結婚する気になったん?」

「黙って聞いて」

ぴしゃりと遮られた。

「あのね」

「健吾君のことが、好きなの、ね。
付き合ってほしいな、って」

今までで一番色気のない告白だったが、俺を一番動揺させた告白だった。

199:恋する名無しさん 2005/11/19(土) 10:48:59
今は何年前の話になっているんだっけ?

200:恋する名無しさん 2005/11/19(土) 11:17:05
>>199
187と193から2004年6月の話になっている。1年半前だね。

201:恋する名無しさん 2005/11/19(土) 11:32:22
親のしがらみで自分を抑え付けてるのは、ただの弱さでしかないわな。
芽衣子さんがそんなにやばいとは思えない。

215:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/21(月) 16:33:59
>>201
どきんとしました。
仰るとおりです。

216:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/21(月) 16:35:19
もう1コ、脳が欲しかった。
とてもじゃないが混乱しすぎて整理できない。
また病気が再発したんじゃないかと思えるほど鼓動もひどい。

ようやく、半開きになった口から言葉を出した。

「かかか、彼氏は?彼氏のことは?」

「別れたの」

恵子ちゃんはずっとそっぽを向いたまま、こちらを見ようとしない。

「別れたって…どうして!?」

恵子ちゃんが上ずった声を上げた。

「理由なんかない!」



「健吾君が、好きなんだもん」

もうこの場に居るのが耐えられなかった。

「ごめん。考えさせて」

俺は逃げた。

最後まで恵子ちゃんはこちらを見なかった。

217:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/21(月) 16:36:38
いつもなら爆睡する新幹線。
でも今日は寝れるわけがない。

うれしかった。正直に。

本当に好きで好きでたまらない相手から告白された。
初めての経験。

恵子ちゃんの顔が浮かぶ。
思考が短絡化する。

もう何も考えないで、恵子ちゃんの気持ちに応えてしまおうか。
「俺も好きです」と、ぶちまけてしまおうか。

きっと最高の日々が始まる。
笑顔の俺の顔が頭に浮かんだ。



…いけね。
また口、開いてら。

乾いた口の中を舐めた時、親父の顔も浮かんできた。

218:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/21(月) 16:37:35
我に返ると横浜に着いていた。
あんなに考え事をしていたのに乗り換えミスも乗り過ごしもしていない。
習性ってすごいなと、くだらないことを考えて気を紛らわそうとした。

引き出物を床に広げ、もらった折り詰めに箸をつける。
普段食べてるコンビニ弁当よりも格段に豪華な食事。
なのに食がすすまない。

恨むよ、恵子ちゃん。
せめて夕食後に告白してくれれば。
いや、だからといってどうというわけじゃないんだけど。

愚にもつかないことを考えながら、食べ残した折り詰めを冷蔵庫にしまう。

ダメだ。今日は何も考えられない。
車の中での風景がリピートされる。

「考えさせて」

馬鹿な台詞を吐いたもんだ。考える余地なんて、そもそもないだろ?
もうずっと昔から、答えなんて決まってただろうに。

もう寝よう。夢を見よう。いい夢たのむ。

219:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/21(月) 16:38:26
0時頃、メールの着信音で目を覚ました。

恵子ちゃんからだった。
立て続けに3通。

俺はメールを開かずにまた目を閉じた。



………。



着信ランプが瞼越しにチラつく。

わかった。わかったよ。見りゃいいんだろ。

薄目でメールを開いた。

220:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/21(月) 16:39:29
「こんな夜中にごめんなさい。
無事、お家に帰れたでしょうか。

さっきは聞いてくれてありがとう。
でも恥ずかしくて伝えられなかったことがあって…メールしました。

私は、健吾君と話をしたり、一緒にいると楽しいの、ね。
健吾君の話は、色んなところに話が広がっていったり、色んなことが出てきたりして、 頭の中いっぱい引出しがあるんだなぁって、すごいなぁって、いつも思ってた。
気楽でお馬鹿な話題が多かったけど(ごめんね)、健吾君がする真面目な話も好きだった。
その中で、健吾君の言葉で前向きになれたり、 「あ、そうか」って気付かされたりしたことがいっぱいあったの。
それも、とっても素直に。

落選した時にもらったメールでは、とっても素敵な言葉の使い方をする人なんだなって思ったし、忘れかけてたことを思い出させてもらいました」

221:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/21(月) 16:40:08
「それと健吾君って、最初に会った頃から変わったような気がするのね。
良い意味で。(どこが?って言われると上手に説明できないけど)
その、変わっていけるというか、変われる力を持っているというか、 そういうのがとてもすごいなぁと、かっこいいなぁと、思ったの。
そして他にもいろいろ…。
だから、好きになりました」

222:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/21(月) 16:40:51
「好きって気持ちに気付いたのは、東京で会った時。
今まで色々あったから、無意識に気付かないようにしてた気がする。
でも気付いてしまったから、色々考えたけど、伝えようって決めました。

従姉弟だから、だからこそ言いました。
言わないでこの気持ちのまま見ていくほうが、嫌だなって思ったの。

上手く伝えられているかわからないけど、
どんなでもいいから、
健吾君の気持ちを教えてほしいな、です。

長くなってしまってごめんね。
おやすみなさい」

223:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/21(月) 16:42:40
翌日は夜勤だったから、出勤時間まで時間があり過ぎた。

起きて洗濯に取り掛かった。
チンした折り詰めを無理矢理、腹に入れた。
未開封のDVDを観た。

それでも時間はなくならない。

早く職場に行きたかった。
仕事が始まれば、考えることは仕事のことだけになる。

出勤前に少し寝ておこうとベッドに入った。

…寝れない。

何度も寝返りを打つ。

…ダメだ。

寝酒を飲んだ。

具合悪くなった。

224:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/21(月) 16:43:27
結局一睡も出来ずに時間は経った。
必死に歯磨きして酒の臭いを消し、会社に行った。

こういう時に限って仕事は暇。

逃げても無駄。眺めていた天井がそう言った気がした。

225:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/21(月) 16:45:53
考えよう。
みんなが笑顔でいられる方法を。

シミュレーションが始まった。

1.恵子ちゃんと付き合う。

2.円満に交際が進み、お互い結婚の意志をもつ。

3.彼女を親父に会わせる前に、親父と母のこれまでの経緯を話し、母(太田家)と親戚関係にあることを親父に言わないよう口止めする。

4.結婚。披露宴はガーデンパーティ。

………アホか。

4の前には「両家顔合わせ」があるじゃないか。
その時に恵子ちゃん側の誰かが口を滑らしたらバレるだろ。

なら、

4.田中、太田の両家の人間全てに口止めする。

5.結…

………無理だそんなの。

226:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/21(月) 16:46:59
大体、結婚式なんてことになったら親父か母、どちらかは参列できなくなる。

親父は妹の結婚式の時、参列を辞退した。
母に「花嫁の親」としての権利を譲ったのだ。
結果、妹はバージンロードをお父さんと歩いた。

この上、息子の晴れ姿まで見せられないなんて。

いや、俺が誰と結婚しようが、ふたりが揃って参列することはないんだろうけど。

ええい、もう。

それに口止めが成功したって。
一生、恵子ちゃんにウソをつかせるのか?
田中や太田の人たちに、ワケのわからない約束をずっと守ってもらうのか?
そして親父を、一生だまくらかすのか?

みんなが笑顔でいられる方法?
そんなのありゃしない。



二ヶ月後、俺は恵子ちゃんにメールを送った。

227:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/21(月) 16:47:52
「こんばんは。
元気に過ごしてますか?

まずはお返事が遅くなってしまったことをお詫びします。

そして、ごめんなさい。
俺は恵子ちゃんとお付き合い出来ません。

あれから色々と考え込んでいました。

正直な話、俺も恵子ちゃんと会っていると楽しいです。
俺の一方的な感覚かもしれませんが、恵子ちゃんとはウマが合うと感じています。
打てば響く会話、同調し合える価値観、何より恵子ちゃんの誠実さにはいつも感嘆していました。
(いつも馬鹿なことばっかり言って、 その気持ちは表に出ていなかったかもしれませんが)

ですから、これまでの恵子ちゃんとの関係を恋愛に発展させるのは、俺にとって非常に良いことだと思えます。

しかし俺は、恵子ちゃんを恋愛対象として見ていません。

女性として見ていないわけではないのです。
ただ今まであまりにも近いところで接していたから、親友としての気持ちしか持てないのです。

残酷な言い方になって、本当にごめんなさい。
どうかお身体をお大事に」

228:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/21(月) 16:49:56
送信ボタンを押した時、吐き気がした。

二ヶ月も待たせた挙句、なんて返事だ。
こんなに残酷な言い方をする必要があったのだろうか?

だけど親父のことは出せない。
恵子ちゃんに「じゃあ、そのことがなかったら…」なんて思わせるわけにはいかないのだ。

これでいい。
こんな男を美化させる必要はない。

恵子ちゃんとの付き合いはこれで終わってしまうだろう。
それに耐えられるように、俺は強くならねば。

229:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/21(月) 16:50:47
一週間後、恵子ちゃんからメールがきた。

「メールありがとう。
正直、お返事は諦めていました。

結果は残念ではあったけど、でも、健吾君が二ヶ月考えてくれたこと、そしてちゃんとお返事をくれたことに、 は感謝しています。
本当にありがとう。

気持ちを伝えることが出来て良かった。
言わないときっと私は後悔してた。
まだちゃんと気持ちの整理がついたとはいえないけど、でも、好きになれたことは、うれしかったよ。

最後にお願いがひとつ。
これからも健吾君とは今までどおりのお付き合いがしたいです。
それだけでいいから。
次に会う時は、従姉として普通に会えるようにするから」

230:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/21(月) 16:51:57
複雑な気持ちだった。

嫌われなかったことに「ほっとした」、なんてことはない。
むしろ避けられるほどに嫌われたかった。

物理的な距離は遠いのだから、会おうと算段しなければ、会わないで済む。
一年に一回会うか会わぬかの関係なら、忘れられる日もきっと早く来る。

だが、彼女の言う「今までどおりの付き合い」
それはこれからも一緒に書展に行ったり、一緒に食事したり、そんなことを意味するのだろう。

「こちらこそ。これからもよろしく!」

返信したメールとは裏腹に、
これからはもっと意識的に彼女を避けなければ、と思った。
彼女を傷つけないように。
彼女に悟られないように。
“意識した無意識”で。

231:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/21(月) 16:52:41
秋の始め、俺はとりそびれていた夏休みを利用し帰省した。

折り良く、他県に住んでる妹一家や、妹たちと同じ県で住み働いている義弟も遅めの夏休みで里帰りしていた。
みんなが揃うのは久しぶりだった。

帰省最終日、みんなで食事に出た。
お父さんの行きつけの店だった。

姪っ子たちにいじられながら、合間合間で酒食を楽しむ。
忙しないが落ち着く。東京では得られない安らぎ。

と、義妹が厨房から男性を連れてきた。
「健吾君は初めて会うよね。今、付き合ってる人です」

聞けばその人とは結婚を前提に同棲も始めており、お父さんも公認の男性だった。

「はじめまして。これからよろしくお願いします、お兄さん」
俺よりも年上なのに深々と頭を下げる彼。
こそばゆかったが、ふたりの幸せそうな顔に俺の顔も綻んだ。

232:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/21(月) 16:53:34
すると義弟が口を開いた。
「俺も結婚します」

彼も同棲している彼女がいた。
会ったことはまだなかったが話だけは聞いていた。

しかも、
「子供、できちゃって(笑)」
とまで言った。

あらら。お兄ちゃん、ちょっとショックよ。

数年前には結婚一番手だったのに、いつのまにやらドンケツだ。
いや、相手もいないんだからスタートラインにすら立ててないじゃないの。

笑顔で動揺してた俺の心中を見透かしたかのように、母が言った。

「とうとう、アンタひとりだね(笑)」

ズッシーン。それを言っちゃあ、おしめぇだよ母ちゃん。

「アレでしょ?おにぃ、結婚する気ないでしょ?」と妹。

「なぜ?」
「なんか、独身で遊んでるのが楽しいって感じ」
「だね。アンタ今、結構充実してるでしょ?」

…お前ら何年、俺の母親と妹やってんだよ。
身内に遊び人と思われてるとは。

その後、みんなが俺の結婚観を代弁してくれた。
ひとっつも当たってなかったが。

233:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/21(月) 16:54:17
東京に戻った俺は仕事に打ち込んだ。
というか、打ち込むしかなかった。
張り合いはなかったがヤル気は出した。

ある日、先輩(合コンに誘ってくれた人)に飲みに誘われた。

「お前に会わせたい人がいるんだ」

生ビールで乾杯した後、意味深な目つきで先輩が言った。

「誰です?女のコでも紹介してくれるんですか?(笑)」
「んふふ」

いたずらっ子のような目で先輩は笑った。

234:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/21(月) 16:55:09
一時間ほど経った時、先輩の「会わせたい人」が来た。

関口さん、だった。

関口さんとは合コンの後、2〜3ヶ月ほど一緒に飲みに行った。
先輩と一緒だったり、ふたりだけで行ったこともあった。
しかしいつしかお互いに連絡もしなくなり、ここずっと疎遠になっていた。

先輩の隣に座った彼女が、眉を落として挨拶した。頬が赤い。

「お久しぶりです」
「ほんと、久しぶりだね〜」

「あのな」
先輩が俺のジョッキに自分のジョッキをぶつけながら言った。

「俺ら、結婚するんだ」

はぁ、そうですか。

250:恋する名無しさん 2005/11/22(火) 02:43:36
>>234
関口さんの件、そうきたか!?
ちょっと意外だった。

235:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/21(月) 16:56:05
おいおい。会社でも俺ひとりかい。

会社での独身男性もとうとう俺だけとなった。

帰りの電車の中、吊革にもたれながら外の暗闇をじっと見る。
無性にこみ上げてくる孤独感。酔ってるから尚更。

(まぁ、焦っても仕方ないのはわかってるけどさぁ)
(でも焦らないと、お前、次のコト考えないんじゃないの?)
(そうは言っても、こんな不規則な生活じゃ出会いも無いし)
(仕事のせいにすんなよ。気の持ちようだろ)

頭の中で一人で会話しながら、乗り換えのために地下鉄ホームへ。

(出会いなんて、その辺にころがってんじゃないの?)

ちょっとだけ、カッコつけてホームに立ってみた。

249:恋する名無しさん 2005/11/22(火) 01:48:34
“意識した無意識”って言葉がやけに響いた。
1◆さんがんばれ!
最初から今までの間に段々文章が読みやすくなっていくのも良いと思った。

253:恋する名無しさん 2005/11/22(火) 08:45:37
なんで結婚=披露宴とか、結婚式って考えるの?
しなきゃいいじゃん。
お父さんのこともわかるけど自分が幸せになんないと!

254:恋する名無しさん 2005/11/22(火) 11:27:07
田舎特有の近所の部外者の
「披露宴しないんだーへー(・∀・)ニヤニヤ」
は結構長きにわたってキクんだよ・・・
『太田のお父さんの』住む地域はどうかしらんが。
それか話を盛り上げるための伏線か。

265:恋する名無しさん 2005/11/22(火) 21:36:43
お前ら思い出してみろよ。
1さんが恵子ちゃんと結婚したら、あれだけ大変な思いをした実父が母親と親戚になるって事だぞ?
名前すら出さないでくれって言ってる父親に、また辛い思いをさせる事になるから苦しんでるんじゃないのか?

270:恋する名無しさん 2005/11/23(水) 02:00:10
>>265
そういう意味だったんだ、俺も分からなかった。
と言うかその点は1の説明不足かな。大事な所なのに。まぁ生(ry

271:恋する名無しさん 2005/11/23(水) 02:07:48
>>270
ちゃんと読め、な?

278:恋する名無しさん 2005/11/23(水) 12:06:07
そーいや恵子ってどう読むの?
めぐこ?

279:恋する名無しさん 2005/11/23(水) 12:26:25
けいこじゃない?
親は子供が幸せになるのを望んでるもんでしょ。結婚もいいと思うけど。

280:恋する名無しさん 2005/11/23(水) 13:08:19
>>279
大人な親ならなww
でも、1の親はそうじゃない希ガスw

287:恋する名無しさん 2005/11/23(水) 14:32:34
一番好きな人と一緒になれないことと、自分を育ててくれた親が一番傷つく事と、どちらが自分を含めた周囲にとって一番不幸かってことか。
親父しっかりしろよという感じだわな。

290:恋する名無しさん 2005/11/23(水) 22:18:00
何か、1の母親が全ての元凶って気がするね。
母親が原因で作った借金を父親に押し付けて結婚できる1の母親が怖い!

291:恋する名無しさん 2005/11/23(水) 22:40:39
>>290
確かにそうだね。けどきっと借金は親父が無理やり背負う事を買って出た、って設定なんじゃない?

299:1 ◆6uSZBGBxi. 2005/11/25(金) 11:26:31
待ってくださっていた方々、間をあけてしまい、申し訳ありません。
仕事でトラブルがあり、対処に追われておりました。

いろいろとご意見・ご感想を頂いているようで恐縮しています。
おそらくあと1、2回のアップで終わることができるかと思いますので、
どうか最後まで書かせてください。

PickUp!